最終更新日:2023.07.14
野菜不足を補える栄養補助食品として、幅広い世代の人に飲まれている「青汁」。健康食品の代表格ともいえる存在で、長い歴史を誇っています。
しかし、その一方で「青汁は肝臓に悪いって本当ですか?」「肝機能障害がある人は青汁を飲んではいけないのですか?」といった、青汁が肝臓にもたらす影響について心配する声を目にすることがあります。
肝機能障害がある人が青汁を飲む際は、かなりの注意が必要でしょうか?
引用元:Yahoo知恵袋
ウコンや、牡蠣、青汁など逆に肝臓に悪く、肝機能の数値を上げるって聞いたことがあります。本当でしょうか?
引用元:Yahoo知恵袋
今回は、青汁を飲むことに不安を感じている人や、飲み続けて大丈夫なのか心配に思っている人のために、青汁が肝臓に与える影響や青汁を飲んではいけない人について、詳しく解説していきます。
これから青汁を飲むことを習慣にしようと思っている人や、周囲の人におすすめしたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
グリ-ンハウス株式会社
健康管理士一般指導員
横尾 奈都
人生100年時代の幸福度は「健康」によって大きく左右されます。健康食品業界で20年にわたり商品開発やCRMなど幅広い経験を積み、自身の健康マネジメントのため妊娠を機に始めた青汁の愛好家としての目線から、生活習慣病や老化の予防法のひとつとして有効な「青汁」に関する知見を少しマニアックにお伝えします。
そもそも、青汁とはどういった飲み物で、どうして健康に良いと言われているのでしょうか?
ドラッグストアなどですぐに購入できる市販品から通販でしか購入できないものまで、各メーカーから多種多様な青汁が販売されていますが、青汁の定義は“生の緑黄色野菜の搾り汁”。主に使われている原料には、“野菜の王様”とも呼ばれるケールや、青汁初心者にも飲みやすいと言われている大麦若葉などがあります。
メーカーによっては、主原料のほかに砂糖や人工甘味料、フルーツ果汁を加えて飲みやすくしたり、便通改善を目的に乳酸菌やオリゴ糖を加えていたりする場合も。形状も、便利な粉末状をはじめ、すぐに飲める液体や鮮度の高さを追求した冷凍品まで、飲む人のニーズに応じてバラエティー豊かに揃っています。
健康のためや美容のためなど人によって青汁を飲みはじめる理由は違っても、共通しているのは野菜に含まれる栄養素を効率よく摂取したいということ。忙しい現代人にとって、青汁は手軽に野菜不足を補える心強い味方なのです。
それでは、青汁に含まれている主な栄養素をみていきます。
ビタミンC | 1100mg | ビタミンB2 | 0.80mg |
ビタミンB6 | 0.75mg | ビタミンK | 1500mg |
カリウム | 2300mg | カルシウム | 1200mg |
亜鉛 | 1.8mg | β-カロテン(ビタミンA) | 10000μg |
葉酸 | 820μg | 鉄分 | 2.9mg |
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)「し好飲料 青汁 ケール」
青汁の原料によって含まれる栄養素の種類や量に差はあるものの、健康的な身体づくりに役立つ飲み物であることには間違いないでしょう。
そんな身体に良い作用をもたらすはずの青汁に、なぜ「肝臓に悪い」という情報があるのでしょうか?そこには、国民生活センターなどから発表された下記のような例が関係していると思われます。
通販で購入した特定保健用食品の粉末青汁を脂質異常症の改善を目的に1回飲用したところ、腹部に不快感あり。13日後に寒気、15日後に頭痛。同日、検診にて肝細胞の異変を示すAST:858 U/L、ALT:1090 U/Lと値が高く肝障害を認めた。そのため、当院を受診し、そのまま34日間入院となった。なお、今までに肝障害の指摘を受けたことはなかった。
(受診年月:2017年1月、50歳代・女性)※独立行政法人国民生活センター「報道発表資料」(平成29年8月3日)より一部引用
~2007年12月頃から秋ウコン、青汁(ケール)を服用していたことが判明した。健康診断時には肝胆道系酵素は基準値内であり、1月には肝機能異常がみられたことより秋ウコン、青汁による肝障害が強く疑われ、これらの服用を中止させた。~
※第57回日本農村医学会学術総会「一般講演 青汁(ケール)により肝障害を呈した1例」より一部引用
上記は、青汁を摂取したことで「薬物性肝障害」と呼ばれる肝機能障害を起こした例です。 身体に良い栄養素がバランス良く含まれている青汁ですが、人によって飲みすぎると体質や持病の関係で肝臓に悪影響が表れる可能性もあるため、注意が必要です。
薬物性肝障害(薬剤性肝障害)とは
青汁に含まれるβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンE、鉄や銅は肝臓にたまりやすい成分です。青汁を多量に飲んでこれらの栄養分を過剰摂取すると、肝臓への負担が大きくなり、肝機能障害を引き起こす可能性が高まります。
青汁は手軽に不足しがちな栄養素を補給できる優れた食品ですが、上記のように多量に摂取すると肝機能障害を引き起こす可能性があるため、飲む前に注意が必要な人がいます。 それでは次に、「青汁を飲んではいけない人」とその理由について、詳しく解説します。
青汁はビタミンやミネラルを豊富に含んでいるため、薬を服用している人は飲むのを避けた方が無難です。以下に当てはまる人は、青汁を飲むことで体調に影響を及ぼす場合も。飲む前に、医師に相談して問題がないか確認することをおすすめします。
上記の他にも、含まれている成分が体質に合わない場合があります。もしも異変を感じた時は、速やかに医療機関へ相談してください。
とはいえ、青汁が優れた栄養補助食品であることに間違いはありません。青汁の健康効果を実感するためには、適切な量を継続して飲み続けることが一番!最後に、青汁の適切な飲み方についてご紹介します。
どんなに身体に良いものでも、過剰に摂取すると逆効果です。それは青汁も同じこと。適量を継続して飲み続けることで、日頃の野菜不足を補えます。
青汁のパッケージやメーカーのサイトには、1日当たりの摂取推奨量が明記されていることがほとんどです。
ちなみに、厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考にすると、以下の数値が目安となります。
ビタミンAの推定平均必要量
文部科学省が発表した「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を目安にすると、「青汁・ケール」(し好飲料)のビタミンA(レチノール活性当量)は860μgRAE/gであるため、青汁のパッケージやメーカーサイトに記載されている推奨量を守れば、上限の超過は考えにくいと言えるでしょう。
青汁と肝臓の関係性や、青汁を飲んではいけない人についてお分かりいただけたでしょうか?「青汁は身体に悪い」「健康に逆効果」という情報を何となく信じて、青汁を飲まないなんてもったいない!健康上の理由や体質に合わないなどの問題がない人で、野菜不足が気になっている人は、青汁を試してみるのも良いかもしれません。
しかし、青汁に健康効果を期待しているからと言っても、飲みすぎには注意が必要です。適切な量の青汁を毎日続けて飲んで、元気な毎日を過ごしてくださいね。
毎日手軽に飲める、国産ケールを使用した青汁はこちらからチェックできます。
監修
グリ-ンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
誰もが気になる“健康”のこと。健康的な毎日を送るために欠かせないのが、十分な栄養と適度な運動です。食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、食事やライフスタイルのヒントをお伝えしたいと思います。