最終更新日:2022.12.28
「野菜不足が気になってはいるものの、なかなか改善できない」。野菜たっぷりの健康的な食生活が理想ですが、現実的には難しいですよね。そんな時に、野菜の手軽な補給方法として青汁の購入を検討する人もいるのではないでしょうか。
「青汁」は、野菜不足解消を目的とした健康補助食品の中で、もっとも身近な商品。とはいえ、同じ青汁でも原料や製法、配合成分などが異なり、種類が沢山ありすぎてどれを購入すれば良いか分からない人も多いのでは?
この記事では青汁の原料にスポットを当てて、原料別の健康効果や飲みやすさなどについてご紹介します。
この記事の執筆者
グリ-ンハウス株式会社
健康管理士一般指導員
横尾 奈都
人生100年時代の幸福度は「健康」によって大きく左右されます。健康食品業界で20年にわたり商品開発やCRMなど幅広い経験を積み、自身の健康マネジメントのため妊娠を機に始めた青汁の愛好家としての目線から、生活習慣病や老化の予防法のひとつとして有効な「青汁」に関する知見を少しマニアックにお伝えします。
青汁は緑黄色野菜が原料の飲み物で、ビタミンやミネラル、食物繊維など野菜の栄養成分を豊富に含む健康補助食品です。アンチエイジングや美肌、便通改善、免疫力向上などの健康効果が期待できる飲み物として、子供から高齢者まで健康を気にする幅広い世代の人が愛飲しています。
ちなみに、厚生労働省が推奨する野菜の1日摂取目安量は350g。下のグラフを見てみると、全世代で目標摂取量を下回っていることが分かります。特に20代女性の野菜摂取量は全世代でワースト1位という驚きの結果に!
それでは、野菜摂取量の目標値である350gとは、どの程度の量なのでしょうか?野菜の種類や調理方法によっても違いますが、大体の目安として大人の両手いっぱいにのる程度、小鉢で約5杯分の量とされています。
健康のためにも十分な量の野菜を食べたいところですが、これだけの量の野菜を毎日食べ続けるのは難しいですよね。特に一人暮らしや少人数の家庭では、野菜を使いきれず腐らせてしまうこともあるのではないでしょうか。そんな人にこそ、青汁がおすすめです。
青汁は栄養価が高いケールなどの野菜を乾燥させて粉末状にしているため、野菜が持つ栄養成分を余すことなく摂取できます。賞味期限も長く、保存が利くため無駄がありません。野菜が不足しがちな現代人にとって、効率良く野菜の栄養素を摂取できる健康補助食品が、青汁なのです。
青汁を飲む理由は「健康のため」という人がほとんどでしょう。青汁がもたらす健康効果として挙げられるのが、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防と免疫力の向上です。青汁にはβ-カロテンやビタミンC、ビタミンE、ルテインといった抗酸化作用が高い栄養成分が豊富に含まれています。
抗酸化作用が高い栄養成分には、生活習慣病や老化などを促進する活性酸素を体内から除去する働きがあるため、がん・動脈硬化・高血圧といった生活習慣病のリスクの低下、老化の進行を緩やかにする効果、免疫細胞を活発にする効果などが期待できます。
免疫力が向上すれば有害な細菌やウイルスの体内への侵入を防ぐことができ、風邪など免疫力低下が要因となる病気にかかりにくくなります。
また、青汁にはミネラルも多く含まれています。特にケールが原料の青汁は、生命維持に欠かせない必須ミネラルの一つであるカリウムが豊富。カリウムは体の細胞の浸透圧を維持・調整して、余分なナトリウムを体外に排出する役割を果たしています。
さらに食物繊維の多い青汁を飲み続けると、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が増え、腸内環境が整うことで便通も改善。便秘による肌荒れや口臭・体臭の悩みも軽減が期待できるでしょう。
青汁の原料と言えば「ケール」を真っ先に思い浮かべる人も多いのでは?それほど「青汁=ケール」というイメージが浸透していますが、現在ではケール以外の野菜を原料にした青汁も増えています。
キャベツやブロッコリーの原種で、原産地は地中海沿岸。古代ギリシャ時代から薬草として用いられ、その優れた栄養素が人々に恩恵をもたらしてきました。栄養バランスが良く、ビタミンCやビタミンE、カルシウム、β-カロテンなどの含有量は野菜の中でも群を抜いています。血圧調整に欠かせないカリウムや、眼精疲労に効果を発揮するルテイン、眠りの質を向上させるメラトニンなども含んだ、まさに“野菜の王様”です。
また、SOD消去活性(呼吸によって作られる活性酸素を消去する力)に優れているため、免疫力の向上も期待できます。長年青汁を愛飲している人からも、その栄養価の高さから圧倒的な支持を得ています。
「青汁初心者でも飲みやすい」と、近年青汁に使われることが増えた「大麦若葉」。大麦はビールや麦茶の材料に使われる麦の一種で、大麦若葉は大麦の穂が出る前の若い葉の部分です。野菜に比べて青臭さやクセがないため、野菜が苦手な人や子供でも飲める青汁原料として人気を集めています。
食物繊維をはじめとした沢山の栄養素が含まれるものの、野菜ではないため文部科学省が公開している「日本食品標準成分表」には成分が記載されていません。商品ごとに成分の含有量が大きく異なる可能性もあるので、購入の際にはパッケージに記載されている栄養成分量を確認するようにしましょう。
明日葉は、海岸近くに生える日本原産のセリ科の植物です。「葉を摘んでも明日には芽が出る」と言われるほど生命力が強いことから、「明日葉(あしたば)」という名が付いたとされています。一般的にスーパーで売られている野菜ではありませんが、栄養成分の豊富さからテレビ番組などのメディアで取り上げられ、知名度を上げました。
明日葉の葉や茎を切ると黄色い汁がしみ出してきますが、これは「カルコン」というポリフェノールの一種。非常に強い抗酸化力や抗菌力があるほか、血糖の上昇を抑制する効果が明らかになっています。
絹糸をとるために飼育されるカイコのエサとして知られる、桑の葉。日本では古くから薬草としても親しまれてきました。桑の葉特有の栄養素には、「1-デオキシノジリマイシン(DNJ)」があります。1-デオキシノジリマイシンはブドウ糖によく似た構造をしていて、糖質が小腸で分解される邪魔をします。そのため食後に起こる血糖値の急な上昇を抑制し、肥満や糖尿病のリスク低下が期待できます。
また、抗ストレス作用があるアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」を豊富に含んでいるのも特長です。
クマザサ(熊笹)は日本全国に自生し、昔から民間治療に広く活用されてきた薬草です。生命力が非常に強い植物で、葉緑素や多糖類のほか、食物繊維を豊富に含有。味にクセがないため、青汁初心者でも飲みやすいでしょう。
種類 | 飲みやすさ | 特徴 |
---|---|---|
ケール | 若干のクセあり | ビタミンやミネラルなどの栄養価の高さとバランスの良さが圧倒的。非常に高い抗酸化力も魅力。 |
大麦若葉 | クセなし | 野菜が苦手でも飲みやすい。イネ科の植物のため野菜不足の解消という点では物足りない部分も。 |
明日葉 | クセなし | カルコンという明日葉特有の成分が含まれている。 |
桑の葉 | クセなし | 抗ストレス作用があるGABA(ギャバ)を含有。 |
クマザサ | クセなし | 食物繊維が豊富。 |
青汁の原料には色々なものがありますが、中でも一番おすすめなのが「ケール」です。その理由は、何といっても栄養価の高さとバランスの良さ!野菜不足解消を目的に青汁を飲むのなら、やっぱり選びたいのは野菜が原料の青汁です。“野菜の王様”と呼ばれるケールの青汁なら、1杯でビタミンやミネラルなど野菜の栄養成分をバランス良く補えます。
ケールの青汁に「苦い」「飲みにくい」等のイメージがある人もいるかもしれませんが、牛乳や豆乳に溶かしたり、ハチミツを入れたり、ヨーグルトに混ぜたり、柑橘系のジュースで割ったりと、飲みやすくする工夫はいろいろあります。毎日青汁を飲むなら、もっとも高い効果が期待できる原料を使った製品を選びましょう!
かつては“まずい飲み物”の代表格として有名だった青汁。風味の改良が進み、現在では飲みやすいものが増えています。子供でも飲みやすい甘味料やフルーツ成分が配合された青汁や、腸内環境を整えることを目的に乳酸菌やオリゴ糖が配合された青汁など、実にバラエティー豊か。また、形状も手軽に飲める粉末タイプや、生野菜に近い鮮度の冷凍タイプなどさまざまです。選択肢が増えた分、自分に合う青汁選びが難しくなっているかもしれません。
青汁は即効性があるものではなく、飲み続けることで健康効果を実感できます。習慣的に飲み続けるうえで重要視すべきは、飲みやすさと価格、そして安全性です。 水に溶かすだけで手軽に飲める粉末青汁は、時間がない人におすすめ。自宅だけでなくオフィスなど外出先でもサッと飲めるため、飲み忘れを防げます。
また、価格面において安いというだけで青汁を選ぶのは要注意!農薬の使用や土壌の安全性などに不安のある原料であったり、飲みやすさを重視して甘味料やフルーツ成分を多く含み、野菜の配合量が少なかったりと、野菜不足を補えるほどの栄養成分が含まれていない青汁の可能性があります。
ケールを原料に使った青汁は価格が高い傾向がありますが、これはケールの栽培に手間がかかるため。農薬や化学肥料を使用せず、土壌の管理徹底など細部にまでこだわって育てられた国産ケールを使った青汁は、価格は高めでも安全性が高いものです。毎日飲むものだからこそ、信頼できる品質の青汁を選びたいですよね。青汁を購入する際には、パッケージに記載されている主原料の産地や全成分、通販の場合はメーカーのサイトで内容を確認しましょう。
通販を行っている青汁メーカーは、ほとんどが定期コースを用意しています。あまりお金をかけずに青汁を飲むなら、定期コースでの購入が一番おすすめです。
青汁は、野菜が不足しがちな現代人にとって、1杯で野菜不足を補える心強い味方です。理想的な食生活は、バランスのとれた食事を1日3食しっかり食べること。しかし現実的には難しいため、普段の食事に青汁をプラスして足りない栄養素を補いましょう。
青汁には血液を固まりにくくする作用を持つビタミンKが多く含まれます。ワーファリン(ワルファリン)という血栓を溶かす薬を内服している人は、青汁の摂取を控えるか医師に相談してください。
毎日手軽に飲める、国産ケールを使用した青汁はこちらからチェックできます。
監修
グリ-ンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
誰もが気になる“健康”のこと。健康的な毎日を送るために欠かせないのが、十分な栄養と適度な運動です。食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、食事やライフスタイルのヒントをお伝えしたいと思います。