最終更新日:2023.12.20
日本人は、全体的に野菜が不足していると言われています。1日当たりの目安となる野菜摂取量は350gですが、成人男女の平均野菜摂取量は280.5 g。目標値よりも随分下回っています。野菜不足解消を目的とした健康補助食品の中でも、もっともポピュラーなのが「青汁」です。
しかし、ひと口に「青汁」といっても、原料や製法、配合成分など多種多様。健康効果も異なります。この記事では、青汁の歴史から原料別の効果、飲みやすくなる方法などをご紹介します!
この記事の執筆者
グリ-ンハウス株式会社
健康管理士一般指導員
横尾 奈都
人生100年時代の幸福度は「健康」によって大きく左右されます。健康食品業界で20年にわたり商品開発やCRMなど幅広い経験を積み、自身の健康マネジメントのため妊娠を機に始めた青汁の愛好家としての目線から、生活習慣病や老化の予防法のひとつとして有効な「青汁」に関する知見を少しマニアックにお伝えします。
目次
青汁と言えば、かつてはテレビのバラエティー番組で罰ゲームに使われるほど「まずい」「苦い」「飲みにくい」飲み物でした。でもそれは、昔の話!現在の青汁は、原料や製造過程、配合成分が工夫されて驚くほど飲みやすくなっています。だから、未だに「青汁とはまずいもの」というイメージを抱いて飲まず嫌いしている人は、実にもったいないことをしているのです!
青汁は、もっとも効率良く野菜の栄養成分を摂取できる飲み物。野菜に含まれるビタミンやミネラル成分の多くは加熱するとその大半が壊れてしまいます。そのため調理中に多くのビタミンが失われ、食事から吸収できる量はごくわずか。野菜からビタミンやミネラル成分を効率的に摂取するなら、サラダなど生の状態で食べることが一番なのです。
しかし、生の野菜から1日に必要な栄養量を摂取するのは思った以上に難しいもの。野菜の1日摂取目安量である350gを摂るためには、1食あたり両手いっぱいの野菜が必要とも言われています。それを毎日食べるのは、ハードルが高いですよね。
青汁は栄養価が高いケールなどの野菜が持つ栄養成分を余すことなく摂取できます。また、乳酸菌やGABAなど、健康効果をより高めるための成分が配合された機能性表示食品として販売されている青汁も増えてきました。乳酸菌は善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善。青汁の原料である野菜の食物繊維とともに、腸内環境を整える効果が期待できます。
青汁とは、野菜不足の現代人にとって必須の栄養成分をたっぷり含んだ、効率の良い健康補助食品なのです。
今も昔も、人々にとって「健康」は大きな関心事。特に医療が発達していなかった昔は、ちょっとした病気でも死に至ることが少なくありませんでした。「いかに病気を予防するか」「病気にかかりにくい健康な肉体を維持するか」が重視されたことは、想像に難くありません。
青汁の起源は古く、平安時代中期の医師・丹波康頼により編集された日本最古の医学書『医心方』には、数種類の植物の葉を利用した汁として登場しています。
現在のように、野菜などを搾って作る青汁の原型が誕生したのは、第二次世界大戦中のこと。食糧難の中、岡山県の医師が畑に廃棄されていた大根の葉を食料にしようと考えたのが青汁製造の始まりとされています。医師の妻により「青汁」と命名され、健康増進に役立つ栄養補助食品として全国で製造されるようになりました。開発当初はキャベツなどが原料に使用されましたが、野菜の中でも群を抜く栄養価の高さを誇るケールが青汁の代表的な材料となりました。
1000年以上もの歴史がある「青汁」。古くから人々は、植物や野菜がもつパワーに注目し、健康的な身体づくりのために役立てていたことが分かりますね。
それでは、青汁を飲むことで期待できる嬉しい効果について、具体的にお伝えします。これを見れば、きっと今すぐ青汁を毎日飲み続けたくなりますよ。
青汁にはβ-カロテンやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用が高い栄養成分がたっぷり含まれています。老化を促進する大きな原因の一つが、活性酸素。活性酸素は加齢とともに増加するといわれ、体内に活性酸素が多くなると老化や生活習慣病をもたらします。抗酸化作用が高い青汁の栄養成分は、活性酸素を体内から取り除き、老化の進行やがん・動脈硬化・高血圧といった生活習慣病のリスクを低下させます。
ビタミンCを豊富に含む青汁には、肌を美しく保つ作用も期待できます。また、食物繊維も多いため、腸内環境を整えて便通を改善。便秘が原因の肌荒れに悩む人にも、美肌効果をもたらしてくれます。
青汁の栄養成分と言えば、ついビタミン群にばかり目が行きがちですが、実はミネラル成分も豊富です。中でも多く含まれているのが、必須ミネラルの1つであるカリウム。カリウムは体内の余分なナトリウムを体外に排出し、身体のむくみを防ぎます。つらい足のむくみや腫れぼったいまぶた、フェイスラインのもたつきが気になる人は、青汁を習慣的に飲むようにしてはいかが。
食物繊維が豊富な青汁を習慣的に飲み続けると、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が増加し、腸内環境が正常な状態に整っていきます。腸内の善玉菌の数が増えると、免疫細胞が活性化。体内に侵入しようとする有害な細菌などから、身体を守ります。その結果、免疫力低下が大きな要因となる風邪などの病気にかかりにくい、丈夫な身体に!
青汁の原料と聞いて「ケール」と真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?それほど、青汁=ケールというイメージは浸透しています。ケールは別名“野菜の王様”とも呼ばれ、栄養価が高いだけでなく、そのバランスの良さで群を抜いている存在です。
ケールはキャベツやブロッコリーの原種で、原産地は地中海沿岸。その歴史は古代ギリシャ時代にまで遡るとされ、古くから薬草として用いられてきました。日本へ入って来たのは江戸時代で、現在では九州の福岡県や大分県など比較的温暖な地域で良質な国産ケールが栽培されています。
また、飲みやすさを重視した青汁に近年使われることが多い原料が「大麦若葉」。大麦はビールや麦茶の材料に使われる麦の一種で、大麦若葉は大麦の穂が出る前の若い葉の部分です。野菜に比べて青臭さやクセがないといった特徴があり、初めて青汁を飲む人からも「飲みやすい」といった感想が挙がっています。
他にも、タンパク質を含んでいる明日葉(あしたば)や、糖質の吸収をブロックする効果があるとされる桑の葉、鉄分が豊富なクマザサが原料の青汁も製造されています。
青汁には実にたくさんの栄養成分が含まれています。しかし、原料によって栄養価には大きな違いが!
例えば、青汁の原料として広く認知されているケールは、ビタミンCやビタミンE、カルシウム、β-カロテンなどの含有量が他の野菜よりも圧倒的に多いのが特徴です。さらには血圧調整に欠かせないカリウムや、眼精疲労に効果を発揮するルテイン、眠りの質を向上させるメラトニンなども含んだ、まさにスーパーフード!
また、同じく青汁の原料として有名な大麦若葉には、ビタミンやミネラル成分、食物繊維がバランス良く含まれています。
しかし、ケールや大麦若葉が栄養豊富で身体に良いと分かっていても、毎日の食事で摂るのは難しいですよね。そもそも、スーパーで見かける機会もあまりありません。でも青汁なら、その栄養成分を毎日効率的に摂取できます。
青汁にも冷凍タイプや粉末タイプがありますが、手軽さを求めるなら粉末タイプがおすすめ!水や牛乳、豆乳などに混ぜるだけだから、習慣にしやすいのです。
昔の青汁に比べると、最近の青汁はとても飲みやすくなっています。とはいえ、野菜が苦手な人やお子さんにとっては「美味しい!」とは言えない味かもしれません。そこで、青汁を飲みやすくする方法をご紹介します。
青汁を牛乳に溶かすことで、青汁特有の青臭さが緩和されて飲みやすくなります。また、牛乳に含まれるカルシウム分も同時に摂取できるため、さらに栄養価も上昇。育ち盛りの子どもにも飲ませたい一杯です。
ヨーグルトには良質なたんぱく質が含まれるため、特にダイエットを目的に青汁を飲む人におすすめの組み合わせです。ヨーグルトは無糖のものを選び、もし食べにくい場合はハチミツを少量加えると良いでしょう。
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」という言葉があるほど、栄養価に優れたりんご。青汁の味が苦手な人は、リンゴジュースと混ぜれば、リンゴの甘酸っぱく爽やかな味わいで青汁特有の香りや味が抑えられて飲みやすくなります。
ハチミツを、水などに溶かした青汁に少量プラスするとほんのり甘くて飲みやすくなります。ハチミツにはビタミンB類や必須アミノ酸など約150種類の栄養成分がバランス良く含まれていて、風邪予防にも効果が期待できます。
青汁の健康効果についてお伝えしてきましたが、実際に青汁を購入する際にはどのような点に気を付ければ良いのでしょうか?
近年、“青汁王子”がメディアに登場して話題を集め、これまでの「青汁=苦い、不味い」といったイメージは大きく変化。これまでよりも幅広い層の人が、健康増進方法の一つとして青汁を飲むようになりました。その影響によって、さまざまな会社やメーカーから特色が異なる青汁が販売されています。
しかし、せっかく健康やダイエットのために青汁を飲みはじめても、青汁の種類によっては期待する効果を感じにくいかもしれません。そこで最後に、青汁の選び方についてまとめました。
監修
グリ-ンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
誰もが気になる“健康”のこと。健康的な毎日を送るために欠かせないのが、十分な栄養と適度な運動です。食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、食事やライフスタイルのヒントをお伝えしたいと思います。